ギターの レパートリーには様々なスタイルが(組曲、変奏曲、ソナタ、エチュードなど)ありますが、そんな中「まるでポエムか!?」と思うくらいに濃縮還元され、異彩を放っているのが、F.タレガ(1852-1909)による小品の一群でしょう。
ちょうど時代は後期ロマン派のワーグナー、マーラー、ブルックナーなどが趨勢を極め、大規模な作品が流行するなか、タレガはその流れに逆行するかのごとく、非常に内省的で詩や俳句の精神性(プレリュードには8小節のもの)をも感じさせる珠玉の小品を作曲しました。
このスタイルは16世紀にバロック音楽が始まって以来、徐々に規模が大きな作品が作曲されていくなか、その風潮に逆行するかのごとく、内省的なリュート音楽を作曲し続けたフランスのE.ゴーティエ(1575-1651)一派に何と無く似ているように思えてなりません。
リュートもギターも決して大きな音が出る楽器ではありません。音量やスピードで勝負しても他の楽器に到底敵わないことも多くあるでしょう。そのことをよく理解し、楽器の持ち味を生かそうとすると、表現する世界観が似てくるのかもしれません。
あとタレガもゴーティエも人望が厚かったのか、優秀な弟子を多く育てたということも興味深い共通点として上げられるでしょう。