イギリスルネサンス期を代表するリュート奏者と言えばJ.ダウランドでしょう。彼のリュートソングに関しては当時から楽譜が出版されておりましたが、ソロ曲に関してはその多くが出版されることなく、手稿譜だけが残されておりました。1970年代、D.ポールトン女史らによってその諸々のソロの楽譜は収集、整理、校訂され現在でも「ダウランド・リュート音楽全集」として多くのリュートを弾く人の必携の書となっています。

ギターも3弦を半音下げれば6コースのルネサンスリュートと同じようになることから、ギターの世界でもダウランドはよく弾かれるレパートリーです。ただポールトンの全集に入っている曲は105曲ですが、ギター用にアレンジされている物は40数曲ほどしか出版されていないのが現状だそうです。(7〜9コース必要な曲はオクターブ上げても演奏困難な場合があるからでしょう)

またポールトンの全集はタブラチュアに五線が併記されているのですが、その五線はg調弦のリュートで弾いた場合のものが大譜表(ト音記号とヘ音記号で記譜されたピアノ用の楽譜)で書かれているので、ギターの人にとってはそれをいちいち移調しないと弾けない、理解できないというハードルの高さもあります。

「ほんじゃ、一丁ポールトンの全集のすべてをギターの人が理解出来る楽譜にし、出版してみてはどうか!」という一大プロジェクトが現代ギター社の編集部にて企画され、その作業に私が携わることになりました。ということで最近はシコシコとタブラチュアをギター用の楽譜にトランスクリプションする作業をしております。ダウランドといっても当然全ての曲を知っているわけではないので、こちらにとってもいい勉強が出来て一石二鳥!

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